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2020.5.19

悲しみをたたえた歓喜

悲しみをたたえた歓喜

第156回レビアダービーは歴史に残る一戦となるだろう。ボルシア・ドルトムントが1966年以来の大差でFCシャルケ04に勝利した試合として。そしてそれ以上に、最も奇妙なダービーとして。『ルール・ナハリヒテン』紙の電話インタビューに応じたハンス・ヨアヒム・バツケCEOは「観客のいないスタジアムでの試合は現実のものとは思えなかった。しかし、他に選択肢がなければ受け入れるしかない」と語った。

 

見どころの多い90分間を見届けたラース・リッケンも、BVBネットラジオに「複雑な気分」だったと認めた。「サッカーだけに限れば、これぞブンデスリーガ、これぞBVBという素晴らしいPRになった。スポーツ界の大多数が注目した試合だったからね」。見事な連携から複数のゴールも生まれ、アーリング・ホーランド、トルガン・アザール、ラファエル・ゲレイロ(2点)の得点によりBVBが4-0で圧勝。先に決定機を迎えたのはシャルケだったが、ロマン・ビュルキが見事な反応で得点を阻んだ。

 

 

このスイス代表ゴールキーパーは「子供の頃に経験した試合と同じだったね。観客はいなかったけど、とにかく楽しかった。チーム全体でそう感じていたのがわかったと思う」と試合後に語っている。一方、試合前日に「子供の頃と同じ」と話していたユリアン・ブラントは、2アシストと2ゴールの起点になるプレーで全4ゴールに関与。試合後には「こんな状況でも、とにかく楽しまないと。みんな結構楽しめていたと思うし、中断明けの試合に勝つ以上にいいことなんてない。完璧ではなかったにせよ、チーム全体でいいプレーができた。久々の実戦にしては上出来だったと思う。今後の積み上げに期待できる」とコメントした。『キッカー』誌が発表した今節のベストイレブンには、ブラントを含む5選手がBVBから選ばれている。

 

サポーターの後押しこそなかったが、ブラック&イエローはホームで今シーズン無敗を維持。ジグナル・イドゥナ・パルクでの直近13試合では45ゴール、1試合平均得点も約3.5ゴールとした。首位FCバイエルン・ミュンヘンが17日にウニオン・ベルリンを2-0で下したため、BVBは依然として勝ち点4差の2位につけているものの、スポーツディレクターのミヒャエル・ツォルクはこの日のパフォーマンスを手放しで称賛。「ファンのいないダービーは心が痛む」と述べつつも、マルコ・ロイス、ジェイドン・サンチョ、アクセル・ビツェル、エムレ・ジャン、ダン=アクセル・ザガドゥ、ニコ・シュルツなど多数の負傷者を抱えていた上、試合前の練習でジオ・レイナが痛んだ中での勝利だけに、「全体的に非常に素晴らしかった」とチームを称えた。

 

サポーター不在を物足りなく感じていたのは選手たちも同様だ。残念ながら、少なくとも今シーズンいっぱいはスタジアムに観客が戻ってくることはない。それでも選手たちは、試合後にはいつものように、南スタンドの前に駆け寄って勝利を報告した。「最初から考えていたことではなく、その場で思いついた」とブラント。選手部長のセバスティアン・ケールも「選手たちは試合後、テレビから声援を送ってくれたすべてのサポーターを称えるために南スタンドへ向かった」と説明した。16日に開催されたブンデスリーガの6試合では、Sky、ARD、ZDFのテレビ視聴者数が1000万を超えている。

 

 

『ルール・ナハリヒテン』紙のインタビューでバツケCEOは次のように語った。「綿密なコンセプトに基づき、試合再開に踏み切る勇気を持ったブンデスリーガとドイツの政略に多くの人々が驚かされている。UEFA会長から祝福の声が届いただけでなく、私たちの試合がイギリスで大々的に取り上げられ、日曜にスペインのスポーツ新聞4紙の表紙を飾った」

 

滞りなくリーグが再開された安堵感が拡がる中、世界のメディアはドイツが各国リーグの歩むべき道を切り開いたと考えている。アメリカの雑誌『スポーツ・イラストレイテッド』は「心理的に、そして象徴としても、非常に大きな意味のある瞬間だった。これはヨーロッパ各国が後に続くであろう見本になる。エンターテインメントとして完璧ではないかもしれないが、これが今の私たちにできること。ファンがいてもいなくても、サッカーはサッカーだ」と記述。オランダの『デ・フォルクスラント』紙も「無観客は代案かもしれないが、何もしないよりはいい」と記した。

 

何はともあれ、ブンデスリーガは再スタートを切った。それでもバツケCEOは「サポーターの前でプレーできるようにならない限り、心から喜ぶことはできないだろう。ファン不在は心が痛む」と語った。

 

文:ボリス・ルパート

 

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