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2020.2.11

夢が現実に

夢が現実に

「アーーーーリング!」「ホーーーーランド!」。スタジアムアナウンサーのノルベルト・ディッケルと、8万人の大観衆による特別なコール&レスポンスは、すでにジグナル・イドゥナ・パルクの名物となりつつある。今週金曜にもまた、一瞬にしてドルトムントの心を掴んだ新たなスター選手の名前を叫ぶチャンスがやってくる。

 

ボルジッヒプラッツ周辺ではアーリング・ホーランドの話題で持ち切りだ。しかも、この熱狂はしばらく終わりそうにない。移籍後初出場となったFCアウクスブルクとのアウェーゲームでハットトリックを達成すると、ホームデビュー戦でも1FCケルンから2ゴールをマーク。どちらも途中出場で大きなインパクトを残した19歳は、続くウニオン・ベルリン戦で2ゴール、SVベルダー・ブレーメンに2-3で競り負けたDFBポカールでも1ゴールを記録した。この長身ストライカーの連続ゴールは8日のバイヤー04レバークーゼン戦で途切れたが、相手GKルーカス・フラデツキーの出来を褒めるべき試合内容だった。

 

 

ドイツのサッカー専門誌『キッカー』は、ウニオン・ベルリン戦後に「この19歳の活躍により、もはや伝説と化しているドルトムント・スタジアムの雰囲気がさらに熱気を帯びている」と記した。「ホーランドは、ただゴールを決めているのではない。下がって守りつつ、スピードを生かしたプレーでチームやスタジアム全体に勢いを与え続けている。サッカーの才能、そしてはつらつとした若さなど、その全体的なクオリティーの高さを考えても、間違いなくファンの人気者となる選手だ」。ホーランドがBVB加入後7ゴールを決めるまでに放ったシュートは、わずか8本。リーグデビューから3試合で7得点は、ブンデスリーガ新記録となった。

 

今冬の移籍市場では、多くのクラブがホーランドの獲得に興味を持っていた。元サッカー選手の父親など身近な人々に相談した結果、ホーランドが選んだのはブラック&イエローだった。慌ただしいクリスマス休暇を過ごした後、ホーランドがBVBのスポーツディレクター、ミヒャエル・ツォルクに嬉しい知らせを運んできたのは、2019年も終わろうとしている頃だった。「自分の将来をはっきりさせたかった。これからの数年間、自分はどこでサッカーをプレーするのか。それを知りたかった」。その答えは、世界中から才能豊かな選手が集まり、スーパースターへの階段を駆け上がっていく場所。サッカー中心の人生を過ごし、このスポーツに情熱を捧げる人々の街。美しいプレーを愛し、数々のドラマと世界最高の雰囲気に包まれたスタジアムを誇るクラブ。つまりボルシア・ドルトムントだった。

 

早くもサポーターのハートをつかんでいるホーランドだが、自分がまだ若い選手であることを自覚しており、活躍を焦るような素振りもない。BVBが育成でも優れている点は、このクラブに加入することを決めた理由の一つだったのだろうか?「もちろんさ。それは間違いなく意識していた」と述べたホーランドは、クリスティアン・プリシッチ、ウスマヌ・デンベレ、ジェイドン・サンチョ、アシュラフ・ハキミといった選手たちの名前を挙げた。ツォルクSDもまた、若いタレントに注目し続けているクラブの方針の正しさが証明されたと感じている。「若い選手と交渉する際には、現チームのラインナップが大きなアピールポイントになる。ここでは18歳や20歳の選手がスターティングイレブンに名を連ねている。それもカップ戦の序盤だけの話ではなく、ブンデスリーガのビッグマッチやチャンピオンズリーグでも同じだ」。ホーランドは交渉の席において、BVBに対してこのように感じていたという。「選手に対して誠実なクラブだ。彼らに出場時間を与えるだけでなく、成長をサポートしてくれる。成長することこそ、僕の望みなんだ」

 

「いつも想像していた」

 

「本当のビッグクラブへ移籍し、さらに大きなステップアップを狙え」とアドバイスする人もいたようだが、ホーランドはそういった意見を尊重しつつも、まったく違うことを考えていた。「ドルトムントも巨大なクラブさ」。サッカー選手なら誰もがプレーしたいと願うチャンピオンズリーグにおいて、BVB以上に大きな規模のクラブは数えるほどしかない。ホーランドは車の中で、あのチャンピオンズリーグアンセムを大音量で聞くのが大好きだと明かした。

 

 

サッカーファンの1人として、ホーランドはBVBというビッグクラブを好きにならずにいられなかった。2000年7月生まれの19歳は、そのプレースタイル、選手、雰囲気、そしてブラック&イエローのカラーなど「すべてが好き」と打ち明ける。BVBとバイエルンが対戦する時はいつもそうらしいが、2013年のチャンピオンズリーグ決勝でもBVBを応援していたという。

 

成長に期待できるだけでなく、その哲学にも共鳴するクラブだからこそ、BVB移籍を簡単に決断できたのだろうか?クラブメンバー向けマガジン『Borussia』のインタビューで、ホーランドはインタビュアーの質問が終わる前から話し始めた。「BVBにはいつも優れたストライカーがいて、子供の頃から憧れていたんだ。それにブラック&イエローのユニフォームを着てピッチに立てれば、どんな気持ちなのかをいつも想像していた。少しずつ選手として成長するにつれて、父にも聞いたことがある。『ドルトムントと僕、いい組み合わせだと思わない?』とね。BVBが自分に興味を持っていると聞いた時、この夢が現実になるチャンスだと思った。今回の移籍は本当に良かったと感じている。タイミングも完璧だった」

 

「選手に対して誠実だし、間違った約束をしない」

 

ホーランドはザルツブルクの一員として、今シーズンのチャンピオンズリーグ・グループステージで8ゴールを記録。その見事な活躍により、ヨーロッパのビッグクラブから一躍注目される存在となった。ホーランドの父親と共に移籍交渉に当たったエージェント、ミノ・ライオラは、BVBと合意後にイギリスの『テレグラフ』紙で次のように語っている。「アーリングはボルシア・ドルトムントを選んだ。彼の希望がかなえられて嬉しいし、最高の選択肢だ」

 

とはいえ、ザルツブルクでひざを痛めていたため、BVB移籍直後の数日間はピッチの外から新たなチームメートを見守ることしかできなかった。それでもコスタ・デル・ソルでの合宿で少しずつ溶け込んでいくと、その才能を遺憾なく発揮。2020年に入ってからはリーグ戦で7ゴール、カップ戦で1ゴールの計8ゴールを挙げている。「アーリングの働きは本当に素晴らしい」とツォルクSD。「ゴールを決めることが彼の仕事であり、すべての動きがその目的に直結している」。インタビューではシャイになることもあるホーランドだが、ピッチの上では俄然雄弁になる。ウニオン・ベルリン戦後には「何の問題もなくチームに溶け込めている。ピッチで互いを理解し合えていることが、今日ピッチ上でわかってもらえたと思う。それが何よりも重要なことだ」とコメント。ユリアン・ブラントも「アーリングがチームの大きな力になっている」と称賛した。

 

アイントラハト・フランクフルトをホームに迎える今週金曜の試合(日本時間15日4時30分キックオフ)は、ホーランドが再びジグナル・イドゥナ・パルクで輝きを放ち、ディッケルと大観衆のコール&レスポンスを耳にする機会になるだろう。BVBファンショップで現在最も売れているユニフォームは、もちろん背番号17だ。

 

 
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