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2019.12.30

ラシュル:「毎日が勉強!」

ラシュル:「毎日が勉強!」

トビアス・ラシュルはプロ生活1年目の半分を終えたばかり。まだ夢をかなえることはできていないが、19歳の若きミッドフィルダーはここまで周囲の期待を上回る進歩を見せている。

 

2019年10月25日金曜日。BVB U-19の元キャプテンは、スタートしたばかりのプロ人生において最も胸が高まる瞬間を迎えた。宿敵FCシャルケ04と対戦するブンデスリーガの一戦で、20人の登録メンバーに名を連ねたのだ。ラシュルがBVBファーストチームでベンチ入りを果たしたのも、これが初めてのことだった。「メンバー表に自分の名前を見つけた時、個人的にはとても大きな意味のある瞬間だったね。やったと思ったよ。また一歩前進した」。直後にルシアン・ファブレ監督からも声をかけられた。BVBのスイス人指揮官は、いつものようにフレンドリーだが確信に満ちた口調でこう語ったという。「メンバー入りだ。自分でチャンスをつかんだんだ」

 

試合前のトレーニングで両チームの選手たちがグラウンドに姿を表すと、スタジアムは6万2000人の大歓声に包まれた。そのすべての視線がピッチ上の40選手に注がれる中、ラシュルは普段と同じ冷静さを保てていた。「初めてメンバー入りできたことは、今シーズンで最も素晴らしい出来事だった」。そう振り返ったラシュルだが、最終的に初出場のチャンスは次回以降に持ち越されている。負傷したマリオ・ゲッツェの代わりに投入されたのはトルガン・アザール。続いてトーマス・ディレイニーがマヌエル・アカンジに、アシュラフ・ハキミがユリアン・ブラントと交代した。どれも納得できる人選だ。0-0のドローに終わったこの試合で、ラシュルは最後までベンチを温め続けた。

 

 

それでもラシュルは、FCバルセロナとの対戦をすでに経験している。残念ながら、9万人が見守るカンプ・ノウでのUEFAチャンピオンズリーグの試合ではなく、観客数百人のラ・マシアで行われたUEFAユースリーグの一戦だ。BVBファーストチームでのトレーニングに加え、U-19およびU-23での活動を両立させることが日課のラシュルは、その試合のピッチに立った年長選手3人のうちの1人だった。

 

BVBユースコーディネーター、ラース・リッケンは「ユースリーグでは周囲より1つ年上になり、リーダーシップを発揮していた。バルセロナ戦だけでなく、インテル・ミラノ戦でも本当に素晴らしいパフォーマンスだったね」と振り返る。BVB U-19のミヒャエル・スキッベ監督が初戦でラシュルに伝えた言葉も、まさしく理にかなっていた。「この大会で私が選ぶキャプテンは君だ。若い選手たちを引っ張ってくれ」

 

 

しかし、U-19とU-23、そしてファーストチームでの活動にバランスを取るといっても、実際にはそれほど単純なことではない。ルシアン・ファブレ、マイク・トゥルベア、ミヒャエル・スキッベ各監督について、ラシュルは「3人それぞれタイプが違う」とし、「それにオットー・アッドとも接する機会が多いんだ」と付け加えた。「3人半」の指導者の下でプレーするだけでなく、3チームそれぞれのレベルも同じではない。「ファーストチームではすべてのスピードが速く、フィジカルの要素がより強くて、試合に対するアプローチも違う」とラシュルは明かした。

 

プロ生活がスタートしてから5カ月あまり。「トレーニングにもすっかり慣れた。日常生活の一部になっているし、すべてがうまく運んでいる」とラシュルは続けたものの、U-23では「正しい判断を下すのが難しい時もある。チームメートと一緒に練習しないまま、直接試合に出場することもあるからね」と打ち明ける。ただし、U-19ではそんな問題とも無縁のようで、「自分にとっては新しいチームじゃないし、どうすればいいのかわかっている」と話した。

 

U-19からファーストチームへジャンプアップすることについて、リッケンほどよく理解している人物はいないはずだ。25年前に同じ道を歩んでいるだけに、ラシュルのような才能あふれる若手にとって見習うべき存在と言っていいだろう。1997年のUEFAチャンピオンズリーグでブラック&イエローの優勝に貢献し、BVB在籍中に3度のリーグ制覇を成し遂げたレジェンドは「トビ(ラシュルの愛称)はU-19で注目を浴びつつ、ドイツ全国にその名をとどろかせている」と語った。ラシュルが成長する姿も細かくチェックしている。「毎日プロと一緒に練習していれば、間違いなく飛躍的に伸びる。それと同時に、適切な出場機会を得ることも大切だ。トビのような才能に恵まれた選手だからこそ、U-23でレベルの高い試合に出場させることが大切だと考えている」

 

なぜ「ドイツ中に名を知らしめた」U-19選手権優勝チームのキャプテンでも、ファーストチームで試合に出場するまで長く待つ必要があるのでしょうか?

 

ラース・リッケン:「トビはとてつもない挑戦に取り組んでいる。一流の代表選手たちと一緒に練習し、自分の実力を思い知らされている。それを忘れてはいけない。この経験が彼の成長に役立つのは間違いない。大事なのは1年間練習ばかりするのではなく、試合でプレーする時間も確保することだ」

 

ラシュルのプロ1年目を、どう評価しますか?

 

「彼の成長には満足している。できるだけ早く成長してほしいと誰もが願うものだが、成熟するには時間が必要だ。その点には配慮している」

 

「まだファーストチームではプレーしていないが、確実に正しい方向へ進んでいる」。元プロ選手で、今シーズンからBVBでユースとシニアへの橋渡しを務めるアッドは言う。ラシュルのメンター的存在の44歳は、次のように続けた。「トビは総じて本当によくやっており、落胆すべきではない。これが普通の成長過程だ」

 

19歳の教え子自身は、全く落胆していないようだ。あまり多くを語らないものの、一流選手に交じっての練習を貴重な経験と考えているのは間違いない。「今も前向きだ。チームのレベルの高さはわかっていたし、若手の自分がすぐに存在感を示すのは難しいと思っていた」。ラシュルと多くの時間を過ごし、信頼構築の第一歩は聞くことだと語るオッドは、彼をこう表現する。「人格者でハードワーカー。若い選手にとって、スタメンに選ばれないのはつらいことだ。でもトビは今の状況によく対応している。常にモチベーションを高く保っている」

 

高校を卒業したラシュルは、家族の支援も受ける。「トビは正しい方向へ進んでおり、一つずつ学んでいかなければならない。苦しい時は必ず来る。でも、焦っていけない」と母のラディネさんは言う。「すぐには試合で使われないことは、皆わかっていた。ボルシア・ドルトムントは世界屈指のビッグクラブなのだから」

 

「忍耐」はアッドがよく使う言葉だ。「カイ・ハフェルツのような例外もあるものの、戦い抜き、多くの障害を乗り越え、実力を示し、注目を集めなければならない」

 

 

ラシュルはU-19やU-23での試合出場だけでなく、プロとの練習でも注目を集めている。アッドは、さまざまなチームでプレー時間を与えられることも、若い選手にとっては「ごく当たり前」だと説明する。「おそらく世界中の一流選手が同じようにやってきたと思う」

 

手本が大勢いて、その中に入り込み、ポジションを争っている。ベルギー代表で100試合以上に出場しているアクセル・ビツェル、デンマーク代表のトーマス・ディレイニー、U-21ドイツ代表として欧州制覇を成し遂げたモー・ダフート。そして、ドイツ代表として5試合でプレーしたユリアン・バイグル。20歳でブンデスリーガ初出場を果たしたバイグルだが、プロの世界へ入ったのは当時2部の1860ミュンヘンでのことだった。

 

BVBに比べれば小さなクラブである1860ミュンヘンでも、U-19からファーストチームへの道のりは、U-23での試合経験を伴った。バイエルン地域リーグで23試合に出場したバイグルは語る。「僕にとって大事な時間だった。シニアサッカーの世界について学んだのも、当時だった」。バイグルとラシュルは、ともに卓越したテクニックを売りにしている。経済的理由でアカデミーの選手に頼らざるを得なかったクラブでバイグルがのびのびとプレーできた裏には、ベンヤミン・ラウトやダニエル・ビエロフカといったベテラン選手の励ましがあった。「ミスをしても許される選手がいるとすれば、それはお前だ」

 

バイグルは5歳年下の新しいチームメートの姿勢と能力に感心している。「初日から印象に残った。自信を持って取り組んでいるが、決してごう慢ではない。全力を出している。ピッチでは何の問題もなく自分を出せている。そのうち頭角を現すと確信しているよ」

 

ラシュルはアドバイスを喜んで受け入れている。「彼らから多くを学んでいる」とバイグル、ビツェルらについて、ラシュルは語る。「練習でヒントを与えてくれるんだ。ポジション取りを改善するにはどうすればいいか、とか。とても役に立つ。僕は毎日学んでいる。そして試合では、彼らが中盤でどうポジションを取っているか、意識して見ている。彼らのプレーを目に焼き付けておきたいと思っている」。時にはファブレ監督から「ここを注意して見るように」と言われることもあるそうだ。

 

 

アッドは、3本の柱を通してラシュルを指導している。まずは「相手などに関係なく」プレーした各試合のビデオ分析。良かったプレー、悪かったプレーを含めた10~12のシーンを振り返り、2人で話し合う。「トビ―は積極的にビデオから学ぼうとしている」。ピッチ上での動きに加え、体の動かし方もこれで学ぶ。そして、火曜および水曜朝8時の個人トレーニング。これは「U-17やU-19の選手と一緒に行う」。ファーストチームでの練習中、「戦術確認など全員が参加できない」練習の間に行われることも。「これで弱点強化に取り組む。強みは放っておいても伸びる」とアッドは説明する。最後に、サッカーから離れた会話。「私はファブレ監督にとって何が重要かを理解している」と、ブンデスリーガで試合に出場したアッドは言う。「サッカーと関係ないことも含め、あらゆる種類の問題との向き合い方について、ヒントを与えている」

 

ラシュルはプロ選手としての1年間の半分を終えようとしている。新聞のコラムで初めて取り上げられるなどしたが、プロへの移行は決して簡単ではない。「体が慣れてきて、当初ほどすぐにバテなくなった」。この夏U-19チームをドイツ選手権優勝に導いた19歳は、こう説明する。その栄光の瞬間から、状況は大きく変わった。サッカーをマスターした選手ばかりの集団の中で、自分の居場所を見つけることを求められている。プロ1年目の後半については、明確な目標がある。「できれば早いうちに初出場を果たしたい」

 

文:ボリス・ルパート
写真:フォルケ、ワルター

 

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