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2016.10.8

ドルトムント同盟:発足から1年の成果

ドルトムント同盟:発足から1年の成果

「スポーツの融合的な力を活用しよう」。これはドイツ国内で行われている“サッカーへようこそ”と題した融合プログラムの一環として昨年組まれた“ドルトムント同盟”が、その発足時に掲げた標語。この1年間の成果は、目にも耳にも明らかだ。

 

「サッカーは我々の社会に深く根付いており、大きな人気を博している。社会の底辺にいる人々も手が届くスポーツだ」とボルシア・ドルトムントのラインハルト・ラウバル会長は強調した。「サッカーは肌の色や宗教、バックグラウンドに関係なく、人々を結びつける。よって、人々の融合にも大きな役割を果たしている。サッカーが持つ社会的、政治的責任については広く知られており、その責任は果たされるべきものである」

 

「サッカー以外でもパイオニア的な役割」

 

TSCアイントラハトを訪問したシャット氏とラウバル会長(写真:グイド・キルヒナー)

 

ドイツ・フットボールリーグ(DFL)の会長も兼任するラウバル会長は、ビクトル=トイカ=シュトラッセに本拠を構えるTSCアイントラハト・ドルトムントを訪問。会長がもう55年以上にわたってメンバーとなっている同クラブでは、日々融合が実践されている。「クラブのDNAに刻まれているんだ」とTSCのアレクサンダー・キール会長は説明する。「我々が目指しているのは、できるだけ多くの人々にスポーツに参加する機会を提供できるようにすること。難民の人々には特にね」

 

ドルトムントでは、さまざまなクラブや団体が密接に手を組み、こうした国外からの難民が社会に溶け込めるよう、力を尽くしている。TSCはこの“ドルトムント同盟”のために練習施設や教室を用意すると同時に、ランチも提供。バルター=ブリュヒャー財団は学校と地方自治体との架け橋となり、ソーシャルワーカーを提供する形で人々のケアを担当。BVBはクラブの“ロイヒテ・アウフ(ライトアップの意味)財団”を通じてコーチの派遣やスポーツウェアおよび学習素材の提供、そして財政的な支援も行っている。

 

German Children and Youth Foundation(ドイツ子供・若者財団)の後援者で、ヨアヒム・ガウク連邦大統領のパートナーとして、政治面からこの問題に目を向けているダニエラ・シャット氏は、国内で21を数えるこういった“同盟”の成功に関して、「このプロジェクトの構造」に興味を示した。「サッカー以外でもパイオニア的な役割を果たしていると思います。この施設では、ボランティアと公共団体の職員が力を合わせることによって何を成し遂げることができるのかを実際に目にすることができます」

 

「言葉もわからずに暮らしてはいけない」

 

“ドルトムント同盟”では週に1回、17歳から20歳までの難民の若者たち25名を対象に1時間のドイツ語レッスンと無料のサッカー講座を行っており、これが目覚ましい成果を挙げている。「ドイツ語は難しいけれど、習得できないことはない」と話したのはメニフ・サエード君。「このプロジェクトではサッカーだけでなく言語を学ぶこともできる。これは新しい友達をつくる上でとても助かる」。イラクから逃れてきたこの若者は、ほとんど修正不要のドイツ語でそう続けた。シリア出身のモハメド・オマル君は、「なんとかして話せるようにならないと。言葉もわからずにドイツで暮らしてはいけないよ」と話した。彼らのコーチを務めるマルビン・マイノー=ボアキエは、自らの経験からそのことをよくわかっている。BVBでU-14チームの共同監督も務める彼は、「10歳でドイツに来た」と明かす。「当時は一言もドイツ語を話せなかったけど、サッカーが多くのことを僕に与えてくれた。だからこの分野ならお返しができる。この仕事はとても楽しいしね」

 

クラマー:「我々は一人で歩み始めたのではない」

 

DFLは2014年秋にすでに、こういったプログラムの計画を政府に提出していた。「ブンデスリーガ財団やロイヒテ・アウフのような団体は、自分たちの事業の成功に伴う責任を感じている」とラウバル会長は報告している。同様の“同盟”は国内に21、生まれた。ロイヒテ・アウフ財団のカルステン・クラマー会長は言う。「我々は一人で歩み始めたのではない。TSCアイントラハトのような団体と手を組んでこのプロジェクトをスタートさせた。それにより、サッカーのエネルギーがいかに人々を鼓舞するか示されることになった。うちのファンも融合というテーマに大きな関心を寄せているよ」

 

シャット氏も今回の経験から多くの収穫を得たようだ。「チームスポーツとクラブカルチャーは、文化および言語、そして社会的なバリアを取り除くのに理想的な手段だと思います」。そう話した“ファーストレディー”は、2時間の滞在を終えてベルリン行きの高速列車ICEに乗り込んだ。

 

文:ボリス・ルパート

 

 

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