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2019.3.8

ディレイニー:「僕らの良さは勝利への執念」

ディレイニー:「僕らの良さは勝利への執念」

2018年の夏、ボルシア・ドルトムントの理事会がトップチームの抱える問題の一つとして挙げたもの、それは精神力の欠如だった。理事会はこの問題を解決してくれそうな選手を探し始めた。そして見つけたのがデンマーク代表のMFトーマス・ディレイニーだ。クラブのメンバー紙『ボルシア』のロングインタビューで、ディレイニーは自らのこと、そしてクラブの現状について語った。

 

練習グラウンドは一面、灰色の空に覆われていた。しかし雲が晴れる兆しも確かにあった。ある意味、この空模様はブラック&イエロー陣営の雰囲気を象徴していた。それはバイヤー・レバークーゼンとの大一番を控えた金曜日。BVBはもう5試合も勝利から見放されていた。ブンデスリーガではアイントラハト・フランクフルトとアウェーで1-1ホッフェンハイムとホームで3-3ニュルンベルクとアウェーで0-0といずれも引き分け。DFBポカールではPK戦の末にベルダー・ブレーメンに敗れチャンピオンズリーグ・ラウンド16の第1戦ではトッテナム・ホットスパーに完敗して突破の可能性が限りなく低くなった。そしてついに最も恐れていたワード、“Crisis(危機的状況)”がメディアに出回り始めた。だがその50時間後、BVBはレバークーゼンに3-2で競り勝ち、「最高の形での軌道修正」に成功する。

 

この間のメディアの騒ぎに、ディレイニーは一切、動揺する素振りを見せなかった。27歳のミッドフィルダーは、キックオフから試合終了のホイッスルが吹かれるまでの90分強の間は、まさに闘志の塊となる。アメリカ人の父親から受け継いだアイルランド系の遺伝子が全面に出てくるのだ。しかし試合と試合の間は、非常に穏やかな人物となる。その落ち着きと静けさは、ディレイニーが育ったデンマークの田舎町を思わせる。冷静さはデンマーク人の国民性でもある。

 

 

トーマス、あなたは9月3日が誕生日だから乙女座ですね。乙女座の人は分析好きで自制心があり、論理的な考え方をすると言われています。当たっていますか?

正直に言うと僕には二面性があるんだ。プライベートの僕にその性格が当てはまるかと言われたら、まあ大体は合っていると言えるだろうね。スケジュールはきっちり立てたいほうだし、習慣を作るのも物事を計画通りに進めるのも好きだ。常に安定性を求めている。スポーツの面では規律も重んじているよ。そうしなければ、このレベルではやっていけないからね。でもピッチ上で常に分析的で論理的な行動をしているかと言われると、それはどうかな…

 

乙女座の人はさらに、過度に批判的で意固地で完璧主義者だとも言われます。周りからすれば付き合いにくい人物になりますが、これについては当てはまりますか?

まったくわからないな。僕には二面性があって、選手としては休むことを知らない。常に問題を解決したいと思うからタックルを仕掛けるし空中戦にも挑む。主審や相手選手に話しかけ、チームメートの士気を高めようとする。ときにはエスカレートして声を荒げてしまうこともある。でもプライベートではそういうふうに振る舞いたくない。普段はものすごく静かだよ。特に付き合いにくい人間だとは思わない。でもそれはガールフレンドに聞いたほうがいいかもね。サッカー選手としては自分にも周りの人にも多くを求める。過去には、あまり友好的とは言えないやり方をしてしまったこともあったな…

 

では今は?

新しいやり方を学んだよ。以前より大人になって、チームメート一人ひとりの性格に合わせて接することができるようになった。だからこそチームのことをなるべく早く、詳しく知ることがものすごく重要なんだ。でもサッカーはパネルディスカッションじゃない。ときには率直に、明確な立場を取ることも重要だ。僕にとっては常に自分らしく、正直でいることが大事なんだ。若い頃はピッチで自分の感情を抑えられないときがあった。怒りを隠せなかったんだ。でもあるコーチが貴重なアドバイスをくれた。「怒りはあらわにしないほうがいい、外に出すと相手からターゲットにされて、重要なことに集中できなくなるからだ」とね。このアドバイスがとても役立っている。

 

ボルシア・ドルトムントは2018年の夏、チームに「メンタルの強い選手」が必要と考えてあなたを獲得しました。「闘将」や「バッドガイ」と言われたりもしますが、あなたは「バッドガイ」などではなく、むしろ「世界一のナイスガイ」であることは皆知っています。

(笑って)そこに悪い意味はないと思うよ。むしろその逆だ。僕はいつも自分をコントロールしようとしている。ブレーメンに加入した直後、イエローカードをもらった僕を監督がベンチに下げたんだ。退場になることを恐れたんだろうね。でも僕のここまでのデータを見てもらえばわかると思う。警告は何度も受けたけど、退場になったことは一度もないんだ。

 

では「メンタルの強い選手」とは具体的にどう選手のことを言うのでしょう?

リーダーとして責任を取れる選手ということさ。BVBに来るとき、そのことについてミヒャエル・ツォルクとセバスティアン・ケールとじっくり話し合った。自分にそういう能力があることはわかっていたけど、このレベルでもそれができるかどうかわからなかった。僕は小国の出身で、それまでいたクラブも欧州の強豪というわけではなかった。ボルシア・ドルトムントは大きな野望を持ったビッグクラブだ。加入初日からBVBでリーダーになるにはトップレベルのパフォーマンスを見せるしかないと思ったよ。一番の選手になるという意味ではなく、常に全力を出し尽くさなければダメだということだ。このチームのリーダーになるにはそれしかないと思った。

 

あなたの考えるリーダーシップとは?

まずフィジカル面での存在感だね。厳しい状況になったときには自ら出ていき、チームメートをサポートし、若手を安心させる。ただサッカーのあらゆる点についてチームメートに話すわけじゃない。ジェイドン・サンチョにドリブルのアドバイスをしろと言われたって僕にはできるわけがないからね。

 

 

ではジェイドンには何を話すのですか?

タックルやヘディングのことかな。その点ではまだ学ぶべきことが彼にはたくさんあるから。

 

中盤の底でコンビを組むアクセル・ビツェルとは、最初から相性がいいようですね。実力ある選手をただ並べても必ずしもうまくいくとは限らないものですが。

お互いをうまく補完し合えているのだと思う。僕らはタイプがまったく違うからね。アクセルはピッチであまりしゃべらないんだ。少なくとも口ではね。自らの足で語るタイプだ。驚くほどボール扱いが安定していて、しかも自信を持ってプレーしている。常に直感で正しい決断をし、恐れることなくタックルを仕掛ける。彼のプレーに感銘を受けているよ。お互いに学んでいるんだ。

 

デンマークの名門クラブで活躍していたあなたには、若い頃から海外クラブのオファーがあったはずです。でもデンマークを出たのは25歳になってからでした。これはなぜですか?

なるべく早く海外のビッグクラブに移籍したいと思ったことは一度もなかった。それより(FC)コペンハーゲンで名を上げてキャプテンになり、チームをリーグ優勝に導きたいと思っていたんだ。19歳でプレミアリーグかブンデスリーガのクラブに移籍していたとしても、うまくいったかどうかはわからない。2017年にベルダー・ブレーメンへの移籍が決まったときには、海外に挑む準備が十分できていた。

 

 

今シーズンの前半戦は完璧とも言える内容でした。後半戦も好スタートを切ったものの、突然失速してしまいました。ホッフェンハイム戦では3-0とリードしながら最後の15分間で追いつかれましたが、あれはどうしたのでしょう?

どのシーズンにもアップダウンはあるものだ。8月から5月まで同じレベルを維持できるチームはいない。うまくいかなくなった理由も一つじゃないんだ。まずは主力が数人、ケガで戦列を離れたことによって、今まで難なくできていたことが急にできなくなった。もう一つは、相手が僕らのプレースタイルを分析して、より効果的な対処法を見つけるようになったこと。多くのチームが引いて守り、0-0のドローでもよしと考えるようになった。そうなるとサッカーというよりハンドボールの試合みたくなる。ホッフェンハイム戦も難しかった。前半は完全に試合を支配し、3-0とリードを広げた。4-0にするチャンスすらあったけど、そこから守備に未熟さが出てしまった。誰がというわけではなくチーム全体に、ある種の経験が欠けていたのだと思う。

 

ファンは心配する必要があるでしょうか?

嘘はつけない。今はシーズンの前半戦より、いろいろ難しくなっている。でも僕自身は心配していないよ。なぜなら僕らは常に勝利を狙うチームだから。これこそこのチームがほかとは一線を画している部分であり、僕がこのチームを好きな理由でもある。前半戦でレバークーゼンにアウェーで0-2とリードされたときも、僕らは勝利への意志を示し、実際に勝利したアウクスブルクとのホームゲームでも2度劣勢に立たされたバイエルン・ミュンヘン戦でも諦めることなく勝利を目指し、そしてつかんだ。うちのチームには勝利への驚くべき執念があるんだ。

 

かつてインタビューで、あなたはプレミアリーグ、日本、アメリカでプレーし、最後にFCコペンハーゲンに戻ってきたいと話していましたが、今もそのキャリアプランは変わりませんか?

ブレーメンにいた頃は、将来の夢や望みを聞かれるとプレミアリーグに魅力を感じると答えていた。でも結局、チェルシーにもリバプールにもマンチェスターにも行かず、BVBに来た。あの当時プレミアリーグと言ったのは、たくさんあった夢の一つを語ったにすぎない。日本にしてもアメリカにしてもそう。今だって少なくとも100個ぐらい夢があるけど、かないそうにないものばかりだ。でもいいんだ。別にそれで僕が不幸になるわけじゃないしね。正直なところ、ここドルトムントでキャリアを終えても何一つ問題ないさ!

 

100個の夢全部を聞くつもりはありませんが、一つだけ教えてもらえませんか?

現役を引退したら、鏡の中の自分に向かってこう言いたい。「トーマス、お前はほとんどのことに対して正しい決断を下した。総合的に見ればいい仕事をしたよ。物事に賢く取り組んできたし、プロのサッカー選手として得られる多くの恩恵を最大限に活用した」と。この願いはかなうかもしれないね。

 

インタビュー:フランク・フリッゲ

 

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