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2019.4.3

「選手生活で最も手応えがあるシーズン」

「選手生活で最も手応えがあるシーズン」

ボルシア・ドルトムント加入1年目から力強いパフォーマンスを披露したものの、2年目には度重なる負傷に苦しめられたラファエウ・ゲレイロ。昨年12月からは(ほぼ)レギュラーに定着し、アシストとゴールでチームに貢献しているが、本人はそれ以上に「今までできなかった形でチームの力になれているという実感がある。今シーズンは、これまでの選手生活で最も手応えがあるんだ」と充実感を口にする。ルシアン・ファブレ監督と同じフランス語を母国語とするこのポルトガル代表が、ベルリン在住の著名ジャーナリスト、スベン・ゴルトマンとのインタビューでさまざまな思いを打ち明けてくれた。

 

「ファブレ監督のサッカー」に完璧にフィットする選手との評価があちこちから聞こえてきますね。ファブレ監督のサッカーを詳しく説明してもらえませんか?

 

とてもシンプルだね。常にボールを中心に考えている。ボールをキープし、相手に奪われないようにしながら、その局面に応じたプレーを求められる。可能な限り早く、最善の解決策を判断しなければいけない。攻撃面では危険な場面をつくることだけど、ボールを奪われた後、つまり守備も考えてポジショニングすることが同じく重要なんだ。そのためには頭を使ってプレーできる選手が必要になる。ファブレ監督のサッカーは、足でプレーするけど頭で勝負するんだ。

 

フィジカルはトレーニングで鍛えられ、テクニックも少しの才能と努力で磨くことができると思います。サッカーの知性は、学習や練習で身につくものなのでしょうか?

 

ある程度はね。でも間違いなく基礎は必要だと思う。僕はピッチ上で次に何が起こるのかを常に考え、それを頭の中で視覚化してプレーするようにしている。哲学を共有し、練習場でも毎日それを徹底させる監督の下でプレーできていることは、自分にとって間違いなくプラスになっているよ。

 

ファブレ監督のチームでは、なかなかスタメンに定着できませんでした。初先発は第9節でしたね。何が問題だったのでしょうか?

 

理由はいくつかある。まず昨年夏にはロシアでのワールドカップに出場したので、チームに合流する時期が遅くなった。そして合流直後に負傷し、フルメニューのトレーニングができなかったんだ。自分の特徴を知ってもらえるような練習にも参加できなかった。僕がどんな選手なのか、監督もわかりようがなかったんだ。

 

フランス育ちのポルトガル人として、スイスのフランス語圏出身のファブレ監督と同じ言葉で話せるということは、大きなアドバンテージですよね。

 

確かにそうだけど、日常生活ではあまり役に立たないね。監督は何年も前からブンデスリーガで指揮を執っているし、選手にもドイツ語で話している。監督と2人でいた時にも、ドイツ語で話しかけられたことがあるんだ。「監督、2人だけだからフランス語で話しましょう!」と言ったよ。

 

 

これだけ多くの国から選手が集まっていれば混乱するでしょうね……

 

間違いない。良くも悪くもね。2週間前、シュツットガルト戦のハーフタイムに監督は僕にフランス語で指示を出した。監督は熱くなっていたからか、次の選手にもフランス語で指示したんだ。でもその選手がマルコ・ロイスで、彼は指示をまったく理解できなかった。ドレッシングルームが笑い声で包まれて、重要な試合の緊張感を良い意味で和らげてくれたよ。

 

私たちのようなドイツ人は、スイスドイツ語をなかなか理解できません。監督の話すスイスフランス語がわからないことはありませんか?

 

いや、大丈夫。ファブレ監督は完璧に話せるんだ。よく言われているように、フランス人がスイス人を軽くあしらうようなこともない。僕はフランスで育ったので、自分の言葉がわかる。スイス系はBVBで一大派閥だし、みんなとうまくやっていかないとね。たまにからかうのはベルギー人だけだよ。アクセル・ビツェルに聞いてみて(笑)

 

自身のポルトガル人らしさとは?

 

すべてさ。家族、物事の考え方、これまでの生い立ちもね。僕はポルトガルとフランスの国籍を持っているけど、心はいつもポルトガルと共にある。フランスをリスペクトしていても、フランス代表でプレーすることは一度も考えなかったな。

 

フランス人的な部分はないのですか?

 

大きな影響は受けているよ。僕はフランスで生まれ育ったし、言葉も主にフランス語を話していて、ポルトガル語はほんの少しだけ。妻も2人の子供も、そして友人の多くもフランス人だよ。少し珍しいかもしれないね。新しく知り合いになる人にも、しばらくしてから自分はポルトガル人だと伝えるんだけど、それでもフランス語で話すほうが楽なんだ。自分でも笑うしかないけど。

 

ピッチ上で見せるポルトガル人らしさとは?

 

試合に対するアプローチかな。僕は常に冗談を言い、笑っていたい人間なんだ。でもピッチに立てば、そういうことは一切ない。僕にとって、サッカーはとても真剣なものであって、プレーに全神経を集中する。

 

ドルトムント加入から3年近く経ちましたが、何かドイツに感化されたことはありますか?

 

あると思うよ。ドイツ人の仕事に対する姿勢は自分に合っているし、僕のポルトガル人的な気質にもフィットする。

 

 

EURO 2016を制したポルトガル代表は、ブラジル、ギニアビサウ、カーボベルデ、アンゴラ、フランスなど非常に多様なルーツを持つ選手が集まったチームでした。あなたもその一員でしたが、まるでビッグクラブのような代表チームでしたね。

 

おもしろい共通点だよね。でも僕がドルトムントに加入した頃はまったく違っていて、当時は今ほど国際色が豊かではなかった。ピッチ内でのことは大丈夫だったけど、生活面では最初の数カ月間に苦労したよ。今のチームにはいろんな国の選手が集まっているから、以前より簡単に溶け込むことができる。雰囲気も最高で、チームメートと多くの素晴らしい瞬間を共有しているよ。とてもハッピーだね。それもチームの調子の良さにつながっていると思う。もちろん、それだけが理由じゃないけどね。

 

ドルトムントでは在籍1年目から素晴らしい活躍を披露しました。そして誰も考えていませんでしたが、トーマス・トゥヘル元監督によって左サイドバックからセントラルミッドフィルダーにコンバートされ、やはり大活躍しています。しかし2年目は故障が続き、不本意なシーズンになりました。BVB在籍3年目を過ごす現在、ラファエウ・ゲレイロが以前と同じ輝きを取り戻した理由は何だと思いますか?

 

少し訂正してもいいかな? 僕自身としては、2016年と同じレベルでプレーしていると思っていない。むしろそれ以上だと思っているよ。今までできなかった形でチームの力になれているという実感がある。今シーズンは、これまでの選手生活で最も手応えがあるんだ。

 

22歳で欧州選手権を制覇し、若くして父親になりました。非常に若い頃から責任のある立場だったわけですが、ピッチ上でも年齢以上に成長していると感じていますか? 今では25歳になり、サッカー選手が成熟すると言われる年齢に近づいてきましたね。

 

そうかもしれない。若い父親、そしてプロサッカー選手として、人生はいい方向に複雑化していく。あまり多くの睡眠時間を取っているわけではないし、家や子供たちと過ごす時間で常にやるべきことがある。でもこの人生だからこそ僕という人間が、サッカー選手が形づくられている。僕は同年代の一般的な人たちよりも早く成長しなければいけなかった。その経験は間違いなく、今の僕に異なる視点を与えてくれている。これまではピッチ上でもすべてを早くしなければいけなかった。ドイツ語で言う「zackzack」(早く早く)みたいにね。今ではもう少し余裕を持てるようになった。それが自分のプレーにもいい影響を与えている。

 

現代サッカーにおける、芸術と労働の割合は?

 

50対50だね。テクニックや足技を身につけるだけではダメで、チームのために動けて、自分のスキルを試合の流れに合わせて使うことが大切なんだ。そこが違いを生むことになるし、今シーズンの自分はそれがうまくできている。それはもちろん、マルコ・ロイスやゲッツェのようなチームメートのおかげでもある。僕らはサッカーに関する考え方が同じで、ピッチを離れてもうまく付き合える仲なんだ。

 

今もサッカーで学ぶことはありますか? それとももう一通りカバーできていますか?

 

誰もが日々成長できるし、ファブレ監督はまさにそれを僕らに求めている。皆、練習後に個別でトレーニングしているよ。例えば僕は今、アグレッシブなプレーに磨きをかけているところだ。小柄なほうだし、特別がっちりした体型というわけでもないから、ボールキープがうまくできないことがある。でも僕のプレースタイルにおいては重要な要素だから、何か工夫しなくちゃいけないんだ。

 

メンヘングラットバッハ時代、ファブレ監督はクリストフ・クラマーに何時間も利き足ではない左足の訓練をさせていました。あなたは必殺の左足を持っているから、右足のほうを少し練習したほうがいいのでは?

 

僕はもうすでに右足でゴールを決めているよ(笑)。でも君の言うとおり、僕は自分の左足に圧倒的に頼っているし、攻め上がるときは今後もそのやり方を変えないつもりだ。余裕があればいつも右足から左足にボールを持ち替えている。でもそれが僕であり、僕のサッカー選手としてのアイデンティティなんだ。

 

筋肉系の負傷で戦列を離れることが多かった理由の1つは、そのアイデンティティにあるのではないですか? BVBでの最初の2年間だけでも5回負傷しています。

 

そうだね。でもそれにはいくつかの理由があった。だから最近、ライフスタイルを少し変えたんだ。今は週に1回、セラピストが自宅に来て筋肉の調整をしてくれる。これで試合後の回復具合が大きく変わった。それから食事にも変化があった。詳しく調べなくても自分が常に理想的な食生活を送っているわけではないことがわかったんだ。最近は前よりも野菜を多く食べるようにして、その他のものは量を減らしている。これがうまくいったんだろうね。筋肉系のトラブルに見舞われなくなった。

 

より自分の体に自信が持てるようになりましたか?

 

そのとおり。筋肉系のケガはメンタルにも影響する。シュートやクロス、ドリブルをしたいのにできないんだからね。体が制御してしまうんだ。これはすごく受け入れがたいし、どうしたらいいかわからなくなる。でも今は練習後いつも、明日もいけると思えるんだ。1つ確かなのは、ファブレ監督の下での練習はものすごくハードだということ。最後は疲れ切ってしまうけど、自分が強くなった感じがする。今は何の問題もなく週に3試合をこなせる。

 

それならばこのハードなシーズンを終えたあとも何の心配もなく、ポルトガル代表としてネーションズリーグの決勝トーナメントに出場できますね。

 

そうなったら最高だね。この大会を重視していない人もいるけど、僕らはものすごくモチベーションを高めているよ。ポルトガルにとって大きなチャンスだからね。それに試合に出ることが肉体的な負担になることもないはずだ。いずれにしても夏の間、コンディションを保つために何かしらのトレーニングが必要なわけだし。それがサッカーの試合なら言うことなしだよ!

 

インタビュー:スベン・ゴルトマン

 

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